(第3回 ついうた短歌 いちごつんでください)
ポケットに煙草の形のチョコレイトちょっと大人の真似してふかす/山口絢子

ふかすのは 芋だけでいい 君が言う? 喫煙所から 出てきた君が/りん

チョコレイト 溶かして遊ぶ 女子会は 心はほろ苦 あなたが本命/六畳間デブリ

自己防衛 氷で閉ざしてきた心
溶かしてみよう、温めるから/何となく短歌

真似してね なまむぎなまごめなまたまご、すもももももももものうち、好き/かや

なまごめは噛み砕くうち甘くなる
恋と同じだ胃に悪いとこも/何となく短歌

ポケットへ突っ込んだ手をチョキにしてこっそり君に勝っている冬/とも

春からは 同じキャンパス発表日手をチョキにして 駆け寄る君と/一筆居士

春からは 同じキャンパス
発表日
手をチョキにして 駆け寄る君と/一筆居士

よーいドンキャンパス縦断徒競走
日替わり定食メンチカツの日/何となく短歌

後輩が初めてできた後輩が心新たに青い風ふかす/SEN

ポケットの 中で繋いだ 手の温み 落ち葉の道が カサコソ笑う/りん

口紅の ついた煙草の 色っぽさ 喫煙室の 秘め事一つ/りん

建前じゃ なにも進まぬ ほしいのは かたちあるもの? かたちないもの?/りん

デパートの 高級チョコを 品定め 予算3万 それってホント?/りん

ちょっと来て ちょっとで済んだ ためし無し どれが地雷か 教えてほしい/りん

死ぬ刻(とき)の沈黙を見る煙草に火つけてしばらく喋らぬ君に/青蒼紺碧

大人って もっと大人と 思ってた マック好きだし 寝坊もするし/りん

赤黄青 机にクレヨン 広げたら ママの真似して 顔にお絵かき/りん

空かざす黄色のクレヨン星繋ぐ
二人しか知らぬ星座がほしくて/何となく短歌

ずいぶんと溶けてしまったチョコレイト貴方の分はもうありません/もくめ

夜に降る雪は灯りに撫でられて銀色  夢じゃありませんよね/久久カナ

シャーペンを煙草みたいに持つ指がゆらゆらしてる 雨垂れの音/みさきゆう

この一首助詞を迷って数時間
カチポチ弾けるシャーペンの芯/あらぴぃ

「誰が好き」?
訊かれテンパり 空を見る
「君」に続ける 助詞を迷って/一筆居士

吾にふる空から狙って降りてきて
重く冷たく心に蓋する/あらぴぃ

鞍馬寺 雨垂れの音 義経も
これを聞いたか 苔よ落葉よ/一筆居士

人知れず雨垂れの音に甘えて
涙腺絞る声は出さずに/リュ〜ニャ叔父さん

青もみじ日向ぼこして甘えてる髪型かえたばかりのきみに/みさきゆう

義経がごと発想飛ばしたい
翼を持たぬ背なればこそ/何となく短歌

ゆらゆらと揺れる線香の煙おれたちこのままひとりぼっちか/てんぺん

黒髪をおろした君が大人びて
見えた瞬間降参だった/屑乃ハコ

エチュードのショパンの五番
黒髪を 揺らし奏でる 漆の艶に/一筆居士

臘梅の清い香りを慈しみちょっと大人の振りを楽しむ/染物屋そーだらいと

捜しても逆さに振ってもナンも無い
空にしちゃった言葉のポケット/あらぴぃ

旅の果て 飢えるBRAVA チーズナン  膨らみすぎて 飲み込みきれず/うたもも

チョコレイトミルクチョコよりビターチョコ けれどコーヒー砂糖とミルクたっぷりと/ひとり遊び

健康のために選ぶはビターチョコ
自分で自分を甘やかす夜/何となく短歌

「吸いますか?」
未成年から勧められ
一緒にふかす

...で、それが何か/jet

未成年ではありません
あの人にセーラー服で来いと言われて/藤野ゆくえ

チョコレイト囓り嗜むウヰスキー
歳こそ重ねど貴方は少年/梓川葉

体への害もお金がかかるのもいいよ煙草は吸う場所がない/藤野ゆくえ

君の匂いを吸うたび近さが嬉しくて
同じ匂いになれぬが哀しい/何となく短歌

斜に構えひとり煙草をくゆらせるあなたの輪郭追ってばかりで/一福千遥

斜に構えた過去顧みて気付くのは
見守る大人がそばにいたこと/何となく短歌